頭痛とは
頭痛は多くの方が経験する一般的な症状ですが、それを理由に医療機関を受診する人は決して多くはありません。実際のところ、大半は診察の必要がないケースであり、風邪や二日酔いによるものであれば、特に医療機関を訪れる必要はないでしょう。しかし、頭痛が生命に関わる疾患の一症状として現れる場合(二次性頭痛:脳出血・脳腫瘍・髄膜炎など)や、重大な病気とは関係がなくても、慢性的な頭痛が続くことで日常生活に支障をきたすケース(一次性頭痛:片頭痛・緊張型頭痛・三叉神経痛など)もあります。気になる症状がある場合は、慎重に判断し、適切な医療機関への相談を検討することが重要です。
- 以下のような頭痛の場合には、緊急の対応が必要になることがある為、救急病院や総合病院をご受診ください。
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- これまで体験したことがない激しい頭痛
- 神経の症状(顔や手足の麻痺や感覚障害・ろれつが回らないなど)も伴う頭痛
- 血圧が急上昇している状態を伴う頭痛
- 以下のような慢性的な頭痛にお困りの場合は、当院での対応が可能です。
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- 頻度と痛みの程度が増している頭痛
- 市販薬を飲んでも解決しない頭痛
- 片側がズキンズキンと拍動する頭痛
- 肩凝りを伴う頭痛
- 天気や月経周期に左右される頭痛
心当たりがあれば、お早めに当院をご受診ください。
一次性頭痛
一次性頭痛とは
一次性頭痛は、慢性頭痛症とも呼ばれ、特定の疾患が原因ではないにもかかわらず、繰り返し発生する頭痛のことを指します。このタイプの頭痛は、頭部の血管の拡張や、頭部や首周りの筋肉の緊張などが関与していると考えられており、大きく3つのタイプ(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)です。に分類されます。
片頭痛
片頭痛とは
片頭痛は、主に頭部の片側にズキンズキンと脈打つような痛みが現れますが、両側に痛みを感じる場合もあります。一度発症すると数時間から最大3日間続くことがあり、発症頻度は個人差が大きく、週に1回程度の方もいれば、月に1回程度の方もいます。さらに、強い頭痛に加えて吐き気を伴うことがあり、なかには発症前に前兆として視界にフラッシュのような光が見える(閃輝暗点)ことや、一部が見えにくくなる症状を経験する方もいます。
片頭痛の正確な発症原因は未だ明確に解明されていません。しかし、ある説では、脳がストレスを受けることでセロトニンが大量に放出され、その影響で脳血管が収縮し、その後セロトニンが分解されると急激に脳血管が拡張することで片頭痛が引き起こされると考えられています。また、片頭痛は女性に多い傾向があるため、女性ホルモンが何らかの影響を及ぼしている可能性も指摘されています。
治療にあたっては、主に薬物療法が用いられます。ロキソニン、カロナールなどの痛み止めで解決しない場合、片頭痛専用の薬すなわちトリプタン製剤を使用します。発作時には、頭を冷やすことが痛みの緩和に役立ちます。また、片頭痛の発症頻度を抑えるために、カルシウム拮抗薬(塩酸ロメリジン)など予防薬を日常的に服用する場合もあります。最近では、CGRP製剤による片頭痛コントロールが注目されており、当院でもご相談が可能です。片頭痛は、治療開始が早いほど治療効果が高く、予防薬ファースト(頓服ではなく予防薬でコントロールすること)が大切です。早めの対応で片頭痛を持病にしないようにしましょう。
★当院では、頭痛ダイヤリーや「見える化」シート(グラフ)を用いて、片頭痛の頻度や強さを評価して治療効果を確認しながら治療を進めていきます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛とは
緊張型頭痛は、首や肩の筋肉の緊張が原因で発生する頭痛の一種です。このタイプの頭痛は、年齢や性別に関係なく幅広い世代で見られます。主な原因は、身体的・精神的ストレスや、長時間同じ姿勢を続けることによる血行不良で、これが頭部や首周辺の筋肉の緊張を引き起こし、頭痛へとつながります。
症状としては、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴的です。この痛みは数時間から数日間続くこともあれば、毎日持続することもあります。また、頭痛に伴ってめまいや首・肩のこりを感じることもあります。
治療では、症状を和らげるために痛み止め(カロナールやロキソニンなどの鎮痛薬)を使用します。さらに、首や肩のこりが強い場合は筋弛緩薬を、精神的なストレスが関与している場合は抗不安薬や抗うつ薬を用いることもあります。ただし、これらの薬物療法は根本的な治療ではないため、日常的な予防も重要です。ストレスをためないよう心がけることに加え、適度な運動やストレッチ、入浴による筋肉の緊張緩和を意識することで、症状の軽減につながります。またカフェインやアルコールなど刺激物を避けることが緊張性頭痛の軽減に有効なこともあります。
天気による頭痛や月経周期に伴う頭痛の場合は、当院では漢方を用いた治療も取り入れています。
群発頭痛
群発頭痛とは
群発頭痛とは 男性に多く発生しやすいとされる慢性頭痛症で、片側の眼の奥からこめかみにかけて、まるで目がえぐられるかのような痛みがみられるのが群発頭痛です。この痛みは1~2ヵ月の間は毎日起きるとされ、痛みの持続時間は数十分~数時間、1日1~2回の頻度で痛みが現れるようになります。この周期を年に1~2度繰り返すようになります。なお痛み以外にも、流涙、痛みのある側の目が充血、鼻水が出るなどの症状がみられることもあります。
発症要因に関しては、現時点で特定できていませんが、頭部の血管拡張によって引き起こされると考えられており、アルコールや喫煙、気圧の急激な変化といったことが、頭痛の症状を誘発するとしています。
治療法に関しては、純酸素吸入法が有効と言われています。これは純度100%の酸素を吸入するというもので、5分程度続けることで頭痛の症状が軽減されるようになると言われているものです。また群発頭痛の症状がみられている間は、禁煙や禁酒を行うようにしてください。このほか、血管拡張薬を使用している方は、医師にご相談ください。
二次性頭痛
二次性頭痛とは
頭痛を引き起こす原因が、何らかの病気の発症によるものという場合を二次性頭痛と言います。この頭痛のタイプというのは、速やかな原疾患の治療が必要となります。
なお二次性頭痛がみられる病気というのは、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎といった病気のほか、頭部外傷、薬物乱用による頭痛、自己免疫疾患、精神疾患、耳鼻咽喉科疾患なども挙げられます。